Last Update: June 2nd 2012 A Story So Far (これまでの話)----- <1931 10/30 ミズーリ州 ブライトン> ベイカー「父さんは、死ぬ前にこんなことを言っていた」 「兵士は2つの家族を持つと。…守るべき家族と、共に闘う家族とを。」 <1944 6/6 D-DAY 0131時 フランス ノルマンディ上空> ベイカー「分隊長になどなりたくなかった」 マック「ベイカー!扉の前に立つんだ!」 ベイカー「でも仕方が無かった」 「ノルマンディの後、そこで起きた事を夢に見なかった日は無い」  (注:マット・ベイカーが軍曹に昇格したのは、ノルマンディ降下の直前。元々の分隊長が訓練で足を折ったため。そのためにベイカーはあまり乗り気でなかった。 マック曹長はベイカーの父親のジョン・ベイカー大佐に恩があり、息子のマットにも軍人としての資質があると見込んで、彼を抜擢した。) <1944 6/8 D-DAYから2日後 0945時 フランス サン=コム・デュ・モン> ベイカー「まだ、分隊長も悪くないと思っていたころの事だ」  アレン「イギリスじゃこれが売れないってのか?」  ガーネット「アレン、良く見ろよ。側面に”マシューへ”って彫ってあるだろ?」  アレン「だから何だ?多分イギリスにゃ、この銀の拳銃を欲しがる”マシュー”はいっぱい居るぜ?」  ガーネット「見せてみろよ」 「何てこった!こりゃ重さ1トンはあるぜ。これならスーパーマンにも風穴を開けられンな」  アレン「何言ってんだ、スーパーマンは死なねぇよ」  レゲット「それなら殺れる」 (注:アレン二等兵とガーネット二等兵は訓練のときに出会ってからずっと仲良しの二人組だった。ベイカーはこの二人の事を含め分隊員全員を気に入っていたが、 通信兵のレゲット一等兵はこの二人がいつもうるさくしているのをあまり快く思っていなかったようだ。) <1944 6/9 D-DAYから3日後 1014時 フランス サン=コム・デュ・モン> ベイカー「忘れられない悪夢…」  レゲット「ベイカー!」 (奥で倒れているのは、アレンとガーネット) 「本当にすまない…」  ベイカー「レゲット、何があった?」 <1944 6/13 D-DAYから7日後 1447時 フランス カランタン付近 ヒル30> ベイカー「それからあいつは、レゲットは孤独になった」  レゲット「俺を殺してえんだろ!殺ってみろ、殺ってみやがれってんだ!」 「作戦の終わりまで、あいつはあの秘密を守った」 「…そして奴が死ぬまで」 <1944 6/11 D-DAYから5日後 0621時 カランタン近郊の土手道> ベイカー「英雄が生まれた」  コール「煙幕が出来上がるまで待つんだ!」 「叫び声がしたら、まず撃つんだ!」 「ドイツ語で叫んだら、もう一度撃て!」 (注:ロバート・コール中佐は実在の人物。この6/11日の突撃で議会名誉勲章を受章した。) <1944 6/15 D-DAYから9日後 0812時 フランス ボーテュ> ベイカー「ノルマンディーの勝利の後、起きたことだ」 (注:このハートソック伍長―後に軍曹に昇格―はもともとベイカーの部下。ここボーテュで左手の薬指を失った。) <1931 10/6 ミズーリ州 ブライトン> ベイカー「そういえば、ずっと昔にも何かあったな」  幼ベイカー「母さんがまだ、僕はこんなの持っちゃいけないって。ごめんなさい、父さん」 <1944 6/13 D-DAYから7日後 1518時 フランス カランタン付近 ヒル30> ベイカー「沢山の事があった」  レッド「撃ちまくれ!生き残るんだ!」 <1944 6/13 D-DAYから7日後 1730時 フランス カランタン付近 ヒル30> ベイカー「ありすぎたくらいだ…」  レッド「もう一回同じことを全部やれと言われたら、やれるか?」  ベイカー「勿論さ」 「皆、無事か?」  レッド「レゲットの事は知ってるよな?」  ベイカー「ああ…」  レッド「だが他には誰も…一人も死ななかった。全く奇跡だよ。」 ベイカー「色々な事が起きたものだ」 「だが、戦争はまだ始まったばかりだ」 Lost(迷子/失われた者) ----- <1944 9月 オランダ アイントホーフェン> コリオン「誰か奴を見たか?!」 コートランド「この煙じゃあ何も見えない…目が焼けちまうみたいだ!」 コリオン「探すんだ!」 兵士「すみません、軍曹…」 ベイカー「謝る事は無い、良くやった」 兵士「彼女は…彼女は無事ですか?」 ベイカー「ああ、大丈夫だ」 兵士「ははっ…嘘でしょう…」 (ここからゲームプレイ) レッド「あいつは死んだ、マット。…死んだんだ。」 「もう行くぞ」 「俺を見ろ!」 「行くぞ、マット。ついてこい」 (カバーに隠れて) レッド「姿勢を低く…早くしろ」 「クソッ、気を付けろ!」 「先が見えない、ちょっと見てくれないか」 「クソ、ドイツ兵だ!そこに隠れろ」 「撃て、撃つんだ、マット!」 「撃ち続けてろ!側面に回る」 (停電が起きて、道の途中で) レッド「電気が消えた…町中だ。なんてこった、街の人たちが…」 (ひょっとするとall those peopleは分隊の皆を指している?いずれにせよ「くそっ、街の皆は無事か…?」が無難な訳か) Prologue(プロローグ) ----- <3日前> ベイカー「優れた兵士の条件は?」 「賢さか、それとも優しさか?」 「俺が7歳のとき、父が朝メシの時に出した問題だ」 「結局父は答えを教えてくれなかった事を、ハッキリと覚えている」 「父は俺の知り得る限り、最も素晴らしく賢い人間だった」 「だがそのせいで俺は、父の周りに居るといつも自分を馬鹿だとか、そんなふうに感じたものだ」 <1944 9/16 ラムズベリー飛行場> フランキー「で、あいつ、俺が18に見えないって言うんですよ」 ベイカー「まぁ、見えんな」 フランキー「ま、ですよね…」 「そうだ!コリオン伍長に俺の事言っといてくれませんか?」 ベイカー「サムにか?何でだ?」 フランキー「何か俺の事、良く思ってないみたいで…」 ベイカー「分かった、何とかしてみる。だから心配するな、フランキー」 マクレアリー「そりゃ自分で描いたのか、ヒヨっこ(Beans)?」 フランキー「ヒヨっこ(Beans)って呼ぶなよ!」 ドーソン「で、お前はその”呪われた銃”について何も知らないんだな?」 コートランド「言う事ぁねぇよ。どこぞの誰かが作った下らない迷信だろ」 ドーソン「じゃ、触って呪われてみるか?」 コートランド「人が死んでるんだぜ!わざわざ手前の墓穴を掘ることぁ無ぇだろ」 ドーソン「答えになってないぞ、コートランド」 コートランド「なぁ、コリオン!1300時から射撃訓練だったよな?」 コリオン「あーっと…、あぁ、ちょっと待ってくれるか?ジャック」 コリオン「あいつは若すぎる」 ベイカー「それは確かにそうだが、サム…」 「だが、あいつには一つ見過ごせない点がある」 「射撃の腕だ。あの坊主は50ヤードの距離なら、コインにだって命中だ!」(a quarterとは25セント硬貨一枚の事だったようです…的の領域の事や「4発に1発」でなく) コリオン「だが、あいつには戦闘経験が全く無いんだぞ」 ベイカー「どの部隊も新兵を補充されたが、俺たちのところには良いのが来たんだ」 「いいか、俺がフランキーを保証する」 コリオン「だと良いんだが」 レッド「ペンキを探してくれると良いんだが、ジャズ」 ジャスパー「勿論!なら、早速くすねてきますよ、軍曹!」 レッド「盗むんじゃない、これは必要な要求さ…上等兵。」 ジャスパー「何を描くんです?」 レッド「俺たちゃ一番槍だからな。槍は鋭く見せる必要があるだろ」 ジャスパー「了解!」 ロゼリ「なんで本人の前でそんな事言えるんだ!」 パドック「下がってろ、イタ公!誰もテメェにゃ話しかけてねえんだよ!」 ロゼリ「もう我慢出来ないぞ、パドック!お前の糞話に俺はもううんざりしてるんだ!」 レッド「お前ら、何してやがる!」 キャンベル「えぇと、パドックがフライアーを大間抜け野郎みたいに言うもんで…」 レッド「…で、殴り合って青あざをこしらえて、一週間食事当番と便所掃除をしたいのか?」 「イライラするのも分かるし、皆すぐにでも戦いたいのは分かる。」 「だが、事はそんなに単純じゃないんだ!」 ロゼリ「それはそうでしょうね」 フライアー「いい加減モントゴメリー将軍に上申すべきでは?」 ロゼリ「ペンあるか?」 レッド「いいかお前ら、作戦は変わらずだ」 「前線のドイツ兵を吹っ飛ばし、ベルリンまで一直線、ヒトラーの顔を一発ぶん殴って戦争に勝ち、クリスマスには家に帰ってる。」 フライアー「おい、パドック」 パドック「何だ?雑魚野郎。」 フライヤー「よく考えろ。イカサマするなら、同じカード(スペードのクイーン)は入れないよう気を付けるんだな!」 ロゼリ「あっ、汚ねぇぞ、パドック!」 レッド「おーい、ジャズ!」 ジャスパー「何だ?レッド!」 レッド「頼んでたペンキは手に入れたか?」 ジャスパー「勿論!」 コートランド「マック曹長はコール中佐の副官になったんだよな?」 マクレアリー「だろうな。中佐が昇進させたそうだ」 コートランド「誰かそれで参ってんじゃないかな?故郷の上司とかが居る感じでさ。曹長は怖かったからなぁ」 コリオン「コートランド。曹長のお陰で俺たちゃあの糞を生き延びられたんだ。曹長には恩がある。」 ジャスパー「へへっ、このペンキ、どこから持ってきたか知りたくないか?」 キャンベル「本当に描いても良いのかな、レッド?」 レッド「ああ。無線の暗号名も決めてきたところだしな。」 ベイカー「これを描けば、きっとジープは一直線に進んでくれるだろう」 ジャスパー「そして恐怖の猛獣たちがドイツ兵どもをぶっ潰すぜ!」 「<クソッ!シマウマだ!>」 レッド「ああ見えてシマウマは凶暴だぞ!」 (注:ハートソックは馬に良い思い出が無いと2作目Earned In Bloodで語られている) キャンベル「なぁ、カジキだって十分危ないぜ」 「友達のネイサンが一回ちょっかい出して手を突かれてな、あいつの…クチバシ、で?ちょっと待て!何つったっけ?」 コリオン「オオハシだろ。」 「あいつは手前の目玉から食っちまうからな」 ベイカー「分かった分かった。いいか…」 「俺は演説めいた事はしない…それはいつもマック曹長がやってたからな。」 「だがいいか。明日、俺たちはオランダに向かう。そこで主要な道路(ハイウェイ)を確保するんだ。」 「だから、ちゃんと飯を食って、よく寝ておけ。どちらももう、当分の間出来ないことだからな。」 ----- マクレアリー「地面がクソ近くなってきやがった!」 ホールデン「大丈夫さ!」 マクレアリー「どうして分かる?!」 ベイカー「優れた兵士の条件は?」 「賢さか、それとも優しさか?」 (グライダー着陸) ザノヴィッチ「ほら、さっさと動け!ジープに乗って合流するぞ!」 Operation Market (マーケット作戦)----- <1944 9/17 オランダ ソン北部 LZ"W":着陸地点W> ベイカー「いいか、任務は2つだ。」 「これからやって来るグライダーの着陸場所を確保する事。これはお前ら、ザノとサムの任務だ。」 「それと、ニックという人物から報告を受けること」 「彼はオランダの協力者(レジスタンス)らしい。この辺りの農家に居るらしいが…」 ドーソン「あの家じゃないですか?」 ベイカー「ああ、あそこのようだな。この任務は俺とジャスパー、コナーがやる。」 「ジャスパー、機関銃を持っていくぞ。よし皆、取り掛かれ!」 ニック「どうも、私はニコラスです。あなたたちに協力します。」 「どうぞ、地図です。完璧ではないですが、ドイツ兵の位置をある程度見つける事が出来ました。」 「急いで下さい。時間がありません」 ジャスパー「すげぇや!英語上手ですね」 ニック「え、ええ。どうも。」 「ともかく気を付けなければいけません。」 「そこの近くの壁の向こうにドイツ兵が居ますから。」 「さて、私はそろそろ息子のピーターの所に戻らないといけません」 「私が家に居ないと、すぐに逃げ出して酷く戦いたがるものですから…そうならないことを祈ってはいるのですが」 「気を付けて、ベイカー軍曹。」 マック「ベイカー!」 「マット、偵察部隊になったのは聞いていたが、まさか降下地点で出迎えてくれるとはな。」 「中佐殿!こいつらの内幾人かははノルマンディで戦った―」 コール「ベイカーだな?覚えてるよ、俺の名前もそんなに有名って訳じゃないが、Dデイのあと、よく君の名前も聞いていたよ。」 「ところで、君たちが任務を引き受けてくれると嬉しいんだが。」 「師団によれば、南に向かったグライダー部隊が、めちゃくちゃにやられているらしくてな。」 「君のジープには既に、ここで合流するように無線しておいたよ。」 ザノヴィッチ「オランダでもなぁ、クラクションは退きやがれッ、て意味なんだよ!」 「すみません、中佐」 ホールデン「準備OKです。いつでも行けますよ、軍曹。」 ホールデン「情報は確かなんですか?本当にグライダー部隊を攻撃しているドイツ軍が居るんですか?」 「…馬鹿げてると思いますが。」 ザノヴィッチ「確かかどうかは分からんさ、だから"偵察"なんだろ。」 ホールデン「ええ、きっと戦闘があるってのは分かってはいるんです。」 「我々が最初に死んで、お偉方を守るってんでしょう?よく分かってますよ。」 ザノヴィッチ「まるで聖書だな。(やや直訳:はん、"ホールデンによる福音書"ってか?)」 レッド「シンク大佐に会った後、何とか全員と合流できたよ」 レッド「大佐によれば…えーと、506連隊と共にソン橋まで行くように、って事だ。」 コリオン「ジープの話をしろよ!」 レッド「事故った時に、俺のジープのせいにされたんだ」 コリオン「木にぶつかってさぁ」 レッド「その時はハンドルがちゃんと切れなかったんだ」 コリオン「”何てこった!ドイツ兵が木に変装しているに違いない!”」 「”戦闘態勢をとれ!私に任せろ!”」 レッド「おい、お前らさっさと行くぞ!」 ベイカー「コリオン伍長は戦争の前、ジョージア州オーガスタの編物工場で働いていた。」 「今までに俺の命令に逆らった事は一度も無い。」 「しかし、不満はあるようだ…目を見れば分かる。」 「今までに三回も、軍曹になり損ねているんだ。」 「四回目のチャンスを待っているとは思えないが…」 「まったく、奴は出来る事なら、アメリカ陸軍全部を指揮したいなどと思っているんだろう。」  (注:ネット上で拾った海外版のコミックの情報によると、コリオンは工場の管理人のような立場だった。) Five Oh Sink (506連隊/シンク大佐の指令)----- <1944 9/17 オランダ ソン北部> シンク「あの野郎、ここ何分かずっと、88mm砲を撃ち続けてやがる!」 レッド「誰の事です?」 シンク「オークランドというドイツ軍の将校だ。奴らは、開けた場所で我々を攻撃しようと林を砲撃し続けている。」 ベイカー「分隊、集合!」 シンク「奴は自分たちの情報を市民には流さない。だからお前たちは奴と88mmを見つけて、破壊するんだ!」 「我々はソン橋で集合する。」 ベイカー「了解です、大佐!ジャスパー、バズーカを持って来い!」「フランキー、こっちに来い!」 レッド「たぶんこりゃ俺の知り合いの砲撃だぜ。祝砲みたいなもんさ!」 ベイカー「俺はサムとジャスパーを連れて街を迂回してみる!」 レッド「じゃ俺は第2分隊とザノヴィッチを連れて通りを行く!」 「可能なら、援護する!」 ベイカー「ザノヴィッチ!レッドと行け!」 ザノヴィッチ「了解!」 ベイカー「橋までたどり着ければ、シンク大佐も後方には居てられないだろう。」 レッド「さあ、行くぞ!」 牧師「ワタシ、英語ソンナニ上手クアリマセン。アリガトウ。コレヲ皆サンニアゲマス。ドウゾ、ドウゾ!」 コートランド「何てこった、見ろよコリオン!無料の葉巻だぜ!」 フランキー「俺は二本貰おうかな。」 ドーソン「まだ吸える歳でもないだろ。」 フランキー「この人たち、もう戦争が終わった気がしてんのかな?」 ドーソン「分かってんのさ、その証拠にお礼してくれてるだろ?フランキー。」 コリオン「ここは安全じゃないぞ、フランキー。」 フランキー「まぁ一服してくだいよ、伍長。僕はただ…」 (88mmの弾着) フランキー「大丈夫!俺を見て!きっと助かる!」 コリオン「フランキー、もう諦めろ」 フランキー「待って下さい!」 コリオン「もう行くぞ、フランキー!」 フランキー「助けられるかもしれないじゃないですか!」 コリオン「俺が命令したら、従うんだ!」 フランキー「死ぬまでのたった9秒間、安心して逝けるよう付き添ってやるのはそりゃ大した時間の無駄なんでしょうね!」 コリオン「言ってろ!(直訳:手前の糞に付き合ってる時間は無いんだ!)」 (注:一作目"Road to Hill 30"では、コリオン伍長はリーヴァス二等兵が撃たれた時、  このシーンでのフランキーのように傍に付き添っていて、ハートソック伍長に「早くしろ!」と急かされていた。) レッド「15人…いや16人が橋に向かってるのを見た!」 「88mm砲に車輪が付いているふうではなかったし、大佐は奴らが88mm砲を動かせないだろうと!」 「いつ大佐が506連隊を連れてくるのか、分からない!」 ベイカー「思うに、俺たちの2分隊なら、奴らに充分制圧射撃が出来て、大佐が来るまで時間を稼げるだろう!」 「1、2、3で行くぞ!」 ハートソック「3!」 ベイカー「行け、突撃だ!」 レッド「ったくお前はいつも、誰かさんの妹(姉)よかブッ倒れてばっかりだな!  (注:パドックの姉/妹が仰向けになって男と寝ている、という事だと思う。)」 パドック「ふざけんなよ、レッド!」 シンク「畜生め!川を渡って88mm砲を破壊し、ここ一帯を制圧するんだ!」 「パーカー!ワイルダー大尉に無線で伝えろ!」 レッド「川を渡れ!」 シンク「第30軍団(英軍戦車部隊)どもは組み立て式の橋(Bailey Bridge)が無けりゃ川を渡れん、 直ちに持って来させろ!ドイツ軍どもが橋を吹っ飛ばしやがった!」 レッド「障害物に隠れながら進むんだ!」 ジョークを訳す版: シンク「どうやって橋を渡るつもりだ?!」 ベイカー「何だって?」 レッド「分からん、まだ耳が鳴り響いてやがる。」 シンク「どうやって橋を渡ってくるつもりだ?!」 レッド「なに、端っこを渡れって?たぶんあいつ酔ってやがんだ、橋はとっくに吹っ飛ばされてるだろう。」 「端は渡れないんで泳いで渡りますよ!」 シンク「分かった!」 直訳版: シンク「どうやって川を渡るつもりだ?!」 ベイカー「何だって?」 レッド「分からん、まだ耳が鳴り響いてやがる。」 シンク「どうやって川(RIVER)を渡って小包み(The SAM)を届けるつもりだ?!」(注:The SAMは小包でなく単に「報告」といった意味かも) (注:SAMは軍関係の郵便のこと。ベイカーがここでサム・コリオン伍長を見るという、ジョーク。) レッド「あぁ、今度はしっかり聞こえたぞ…肝臓(LIVER)を渡れってな。たぶんあいつ酔ってやがんだ。」 「ただ単に肝臓(LIVER)を泳いで帰りますよ!」 (注:川 RIVERと肝臓 LIVERとの音をかけたジョーク。) シンク「分かった!」 Kevin(ケヴィン) ----- <1944 6/12 フランス カランタン> ドーソン「大丈夫か?」 「おい、あんた!大丈夫か?医者が要るのか?」 レゲット「あ、あぁ、別に撃たれたとかじゃなくて…」 ドーソン「ふぅん、じゃあ、どうしたってんだ?」 レゲット「君は?」 ドーソン「第502連隊の偵察部隊だ。金持ちの親父と貧乏なお袋の間に生まれたイギリス野郎さ。 まぁ、好きなように思ってくれていいさ。お前の名前は?」 レゲット「ケヴィン。」 ドーソン「なぁ、ケヴィン。お前は運命を信じるか?つまり、俺たちは皆死ぬまでに、何かをする運命にあるかどうかって事さ。」  ベイカー「レゲット。今言った事は、絶対に誰にも言うんじゃないぞ。」  レゲット「何故です?」  ベイカー「皆に殺されちまうぞ!」 レゲット「秘密を…教えてもいいかな?」 The First Bad News (最初の凶報) ----- <1944 9/18 オランダ ベスト郊外> ザノヴィッチ「ふあ…コーヒーでも飲むか、ベイカー?」 コリオン「ベイカー、マック曹長が呼んでたぞ。」 ドーソン「フランキー、お前はどうだ?運命を信じるか?」 マクレアリー「あー、もうその話はたくさんだ。コーヒーでも飲んでくる。」 ドーソン「本気で話してんのに。」 フランキー「ったく、俺には分かんないよ、ドーソン。例えば誰かが撃たれたとして…それに、何か意味が、運命とかがあんのかよ?」 ロゼリ「なぁ、正直な話さ、20ポンド(約9キロ)の銃を一日中担いでいって、それを撃ちやがれってんだぜ?出来るかよ、そんなこと。」 ジャスパー「お前は不思議の国に住んでんのか?さぞ居心地は良いだろうな?」 「俺はバズーカ(約7.2キロ ただし弾薬を含むともっと重い)を担いでんだ!」 ベイカー「大丈夫ですか?誰が死んだんです?」 マック「…コール中佐だよ、マット。」 ベイカー「なッ…何だって?!どうして?!」 ドラン「ドイツ兵どもだらけだ!ホワイト・ワン(ベイカーの部隊)、増援が必要だ、畜生!」 無線(ホールデン)「聞こえない、オーバー!」 ドラン「こちら、キックオフ・ブルー!ここいらはネズミ野郎だらけだ!援護をしてくれ!今すぐだ!」 「機関銃、迫撃砲、高射砲、皆が俺らを撃ってきやがる!」 コール「ドラン!向こうが何て言ったって構うな!お前はただその無線機に向かって叫んでいれば良いんだ!」 「それと、頭を低くしていろ!」 ドラン「こちら、キックオフ・ブルー!誰か応答してくれ!」 コール「ドラン、だから頭を下げろと言ってるんだ!」 「ボブ!おい、ボブ!」  マック「味方機が地上への攻撃を始めたとき、中佐は隊員を集めて、誤射を防ぐために識別用パネルを敷こうとしたんだ。」 「中佐は隊員の後ろの方に居て、そして彼は…パネルを伸ばしていたんだ。」  ベイカー「どうして彼が…?」  マック「マット、俺には分からん!」 「中佐はその作業をしていて、そして…銃声がしたんだ。」 「狙撃手は見つけられず…窓の柵に仕留めた獲物の数が残されていただけだった。」 マック「上手い事その狙撃手には逃げられちまったって訳さ。」 「全く、やれんよ。」 ベイカー「そうだな…。」 パドック「ん、俺が隊長になってやろうか?俺はロゼリがなる方に賭けてるんだぜ。」 ベイカー「レッド、少し話せるか?」 シンク「これは…酷い損失だぞ、曹長。その畜生は仕留めたのか?」 マック「…大佐殿、」 シンク「何だね?曹長」 マック「師団からの情報は、偵察部隊にはもう伝えたので?」 シンク「ふむ。私が思うに、君が直接伝えたいのではないかね、曹長。」 マック「その通りです。喜んで務めさせていただきます。」 レッド「どうしてだ?!何で中佐はそんな無謀な事をしたんだ?!」 ベイカー「中佐はたくさんの命を救ったんだぞ、レッド!」(注:認識パネルを敷いて誤爆を防いだという事) レッド「それで、指揮官が居なくなってどうする?!そのせいでこれから何人死ぬ?!」 「戦いは一ヶ所だけでやってるんじゃないんだぞ、マット!」 ベイカー「じゃあ代わりに無能な指揮官が来て、ただそこらをうろついてる方がまだマシだって言うのか?」 「その将校一人の為に兵卒何人の犠牲が必要だって言うんだ?」 「20人か、それとも40人?」 レッド「違う!俺が言いたいのは…」 マック「大丈夫か?」 レッド「ただ話してるだけだ。」 「これから何を?」 マック「連隊長は、お前たちの部隊がアイントホーフェンで506連隊とシンク大佐に合流するように、との事だ。」 「第30軍団と合流するだろう。幸運を祈る。」 レッド「それだけか?」 マック「俺の助言が必要なら、これだけは言っておく。」 「争いは敵とするんだ。」 (注:一作目に於いて、レゲット上等兵はアレン二等兵と口喧嘩をして、似たような仲裁をマックにされている。) Written In Stone (墓碑銘) ----- <1944 9/18 オランダ アイントホーフェン郊外> ザノヴィッチ「この2日間で、どんだけ泥を食っちまったか、それももうどうだっていい。」 「こいつらジープも走ってばっかで、もうへとへとだな。」 マクレアリー「いつになったら俺に運転させてくれるんだ?」 ザノヴィッチ「陸軍が牽引車を支給してくれたらな。」 シンク「お前たちにはジープで、88mm砲の背後に回ってもらいたい。」 「そして農場を抜け、教会に無線所を設置しろ。敵の背後を突くぞ。」 (ドアを蹴り破ろうとする) パドック「痛ぇ!畜…生!」 パドック「おら!テメェのお仲間も皆、すぐに送ってやるからよ!」 「大丈夫か?」 ベイカー「ああ、殴られただけだ。…痛いな。」 「こいつだ。この畜生が中佐を撃ったんだ。よし、皆の所に戻るぞ!」 ニック「ずっとアメリカ兵を探してたんですが、あなたでしたか。」 「最後に会った時よりも、鋭い顔付きになりましたね。」 「ええと、近くに2門の大きな大砲があります。」 「それと、敵の弾薬置き場や、燃料所なども見つけました。」 「会ったアメリカ人に渡そうと、地図を描いておきました。」 ベイカー「装備確認!散開して行くぞ。」 ニック「すみません…息子のピーターの事なんですが…探せないのです。」 「とても心配です。私について来ていたのに、見失ってしまいました。」 「全部私の責任です。私の拳銃を息子に渡してしまっていたのです。 その、あくまで身を守る為で…復讐、の為では無く…」 パドック「そんで、あいつはヒトラーユーゲント<ヒトラー青年隊>のナイフを抜いて、刺そうとしたんだ!」 フライアー「で、ナイフはどうした?」 レッド「どうした?」 ベイカー「子供を見なかったか?」 レッド「何だって?」 ベイカー「ニックに会ったんだが。この辺りで息子を見失ったらしいんだ。」 ベイカー「レッドにとって、ここに居て戦争をしているというのは、どんな気持ちだろう。」 「何てこった、ニックの顔…まさに息子を見失った親の表情だった。」 「レッドには絶対に聞けない質問だ」 「身重の奥さんにキスをし、さよならを言って列車に乗る気持ちは?」 「娘の誕生日を、二回も見過ごした気持ちは?」 「三度目の誕生日の前に、もしも死んでしまったら?」 Operation Garden (ガーデン作戦) ----- <1944 9/18 オランダ アイントホーフェン工業区域> ベイカー「皆、ちょっと集まってくれ。」 「これは、靴屋の描いた地図だ。第30軍団を突破させる為に、俺たちが制圧すべき工業地帯を示してある。」 「ワイルダー大尉によれば、ドイツ兵はそこかしこに居るとの事だ。」 フランキー「なんだこの赤いの…痛っ!畜生、何やってやがんだ?!」 コリオン「お礼してんのさ。」 フランキー「そりゃどーも!」 ベイカー「赤い印は靴屋の見つけた敵の位置だ。たぶんまだ正しいだろう。」 「ワイルダー大尉によれば、第30軍団の先遣隊が我々の地点まで来ているそうだ。」 「だから、戦車が援護してくれるだろう。」 「それと、出来れば子供を探してみるんだ!」 ドーソン「その子供がどうしたって言うんだ?そのつまり、俺たちが探す必要があるのか?」 コリオン「俺たちは命令に従うだけさ。」 ドーソン「ああ…でも、ただの子供だろ?」 レッドウッド「お前がベイカーか?ああ、俺はレッドウッドってんだ。」 「この穴蔵を突破する為に助けに来たぜ。」 「俺たち30軍団のお仲間を、ちょっとは安全にしてくれるだろ?」 (注:レッドウッドはアイルランド近衛兵。彼らは第30軍団の最先鋒を担った。) 「俺はあんたの指示に従うが、死なせないでくれよ。」 「ほら、ちゃんと突破できるように、こいつを持って行きな。」 「お前らアメリカ人のトミーガンよりもちょいと旧式だがな。」 (注:米軍の正式採用はM1A1トンプソンで、英軍に供給されたのは一世代古いM1928A1トンプソン。) →東北弁(訳者の生まれの南部方言)で訳す版 (オリジナル版でも酷い訛りの英語に英語字幕が付くというちょっとしたお笑い要素になっています) レッドウッド「んがぁベイカーだが?あぁ、おらばレッドウッドっつぅんだ。」 「この穴倉ば掃討すんのぉ手伝ってやるじゃ。」 「おらんどぉ30軍団の皆も助(す)けてけんでゃ?」 「おらぁんがの指示(すず)さ従うども、死(す)なせるのぁ勘弁してけろじゃ。」 「んだ、すたらこれば持ってけ。役さ立つへぇで。」 「んがんどアメリカ人(ずん)のトミーガンよか、古い型だけんども。」 ベイカー「集合!」 (皆:了解!移動します!など) コリオン「ああ、何てこった…」 ベイカー「分かってる。」 コリオン「俺たちはさっき、このエレベーターから降りてきたドイツ兵どもを殺したって事だよな。」 ドーソン「それってつまり、上で奴らが待ち伏せてるだろうって事か?!」 ベイカー「分かってる。」 ドーソン「あーあ、全く何てこった…!」 ベイカー「分かってる!」 ベイカー「あの88mm砲を潰せ!今すぐにだ!」 ホールデン「こちら、キング・ホワイト・ワン!」 レッドウッド「さぁ、お楽しみの時間だ。撃ちまくってやるぜ。」 「さぁ、移動しろ!ここからじゃ、撃てないぜ!」 →東北弁「さぁてぇ、こごが面白(おもすれ)んでぁ。」 「さ、行ぐべ!こっからでぁ、撃でねすきゃ。」 レッドウッド「おい、おまえら!目標の建物に…民間人が居たぞ!」 ベイカー「待機してくれ!俺はあの子を追う。」 →東北弁「おーぅい、んがんど、そこの建物さ、民間人が居ったすけぇ!」 ピーター「<近付かないで!僕はあなたの事を知らない!>」 ベイカー「いいか、俺は危害を加えたりはしないよ。」 ピーター「<僕は銃を持ってるんだ、変な事をしたら撃つ!>」 ベイカー「君をただ、父さんの所に連れて行きたいだけなんだ。」 ピーター「<下で銃声が聞こえたよ!あなたは誰なの?!>」 ベイカー「君の父さん、ニコラスを知ってる。」 Reunions (再会)----- <1944 9/19 オランダ アイントホーフェン中心部> ピーター「<パパ!>」 ニコラス「ありがとう!」 パドック「えーと、何だって、ヒヨっこ(Beans)?」 フランキー「女の子とキスした事が無いんだ。…そりゃあ、母さんとかそういう人とはした事あるけどさ…」 パドック「あーっとな、それは勘定に入れねぇんだ。」 マクレアリー「いや、入るさ。写真見た事あるかよ?」 パドック「写真があんのかよ?」 コートランド「気にすんな、フランキー。俺のファーストキスは17才だったぜ。」 レッド「D-デイの後の、ノルマンディでの事を聞いて回ってるそうじゃないか。」 「レゲットの事とかな。」 ドーソン「つまりですね、その拳銃に触った人間は、皆死んでるんです!」 「絶対に異常なのに、誰も気にしてないんですよ!」 レッド「気にしてるさ。お前が嗅ぎ回ってる事件では、皆、友達を失くしてるんだからな。」 「気軽に話せる事でも無いしな。」 ドーソン「軍曹は、気軽に話してるじゃないですか。」 レッド「俺はただ事実を受け入れるだけさっ!」 フランキー「まぁ僕は、いわば第101空挺師団のエースって訳さ。」 「僕らが皆を守ってんのさ…って、僕の言ってる事、分かってる?」 コリオン「よし、そこの軟派男。さっさと行くぞ。」 フランキー「また会いに来るよ!」 レッド「第30軍団と合流して、俺たちの役目は終わりか。予定通りに家に帰れると思うか?」 ベイカー「モントゴメリー将軍によれば、第30軍団が2日間遅れなければ、との事だ。遅れてるがな。」 キャンベル「何をそんなに急いでるんだ、レッド?」 レッド「娘が3才になるまでに会いたいんだ。」 (”クリスマス前に帰る”と娘の名前”キャロル”を考えると、娘の誕生日はクリスマス付近だったり?) ドーソン「ザノヴィッチがコートランドとフランキーを連れて、歩哨に出ました。」 「今日の夜は、ドイツ野郎どもが俺たちを放っておいてくれる事を、祈るばかりです。」 ベイカー「お前の話し方は独特だよな(注:イギリス訛り)。そう思うよ。」 ドーソン「それが、例の銃ですか?」 ベイカー「ああ。アイントホーフェンで使った。」 「もう少しで子供に撃たれるところだった…」 「あの子は何も分かって無かった…いずれにせよ。」 ドーソン「軍曹は…」 ベイカー「何だ?」 ドーソン「これを、分かってるんですか?その銃の事を?」 ベイカー「あの下らない噂なんかを信じてるのか?」 ドーソン「確信、とまではいきませんがね。」 「どこかの誰かが言ってましたが、軍曹が恐れたために 持ちたくなかったその拳銃を、手にした彼らは死んでいったんです。」 「済みませんが、俺はそれを偶然だとは思っていないんです。」 ベイカー「これは、父親の拳銃だ。だから、俺は持っていたくなかったんだ。」 ドーソン「ええ、その拳銃を手にしながら、死んでいった。」 ベイカー「何が言いたいんだ、ドーソン?」 ドーソン「軍曹が何かを隠してるって事を、です。」  (注:撃たれている戦車兵はジョージ・リスナー。ベイカーの親友で、その「呪われた拳銃」をベイカーの父親から譲り受けた。)  ガーネット「レゲット、アレン!いいから隠れ…」  レゲット「済まない、ベイカー…敵が大勢で…」 ベイカー「何も隠してなんかいないさ。」 ドーソン「俺が話をした誰かさんはそうは思わないでしょうよ。」 ベイカー「何?」 ドーソン「ねぇ、聞きましたか?」 ベイカー「皆、起きろ!」 Baptism of Fire (砲火の洗礼)----- <1944 9/19 オランダ アイントホーフェン東部> ジャスパー「ドイツ兵!」 ベイカー「隠れろ!早く行け!」 「ジャズ!制圧射撃!」 コナー「待ってたぜ!撃てーッ!」 コリオン「フランキー!」 フランキー「彼女を助けなきゃ!」 コリオン「どうしようっていうんだ?」 フランキー「彼女はきっと困ってる。一人で行けば早い!俺たちで一緒に行ってたら、間に合わないよ!」 コリオン「フランキー、彼女は英語が、言葉が分からないんだぞ?」 フランキー「そんなの関係無いよ!」 コリオン「彼女を追えば…きっとお前、死んじまうぞ。」 フランキー「死なないかもしれないだろ?! 伍長たちは救いたいだけ市民を救ったら良いじゃないですか、でも僕は彼女一人を助けたいんです!」 コリオン「駄目だ!」 フランキー「あの子を助けさせてください!」 コリオン「フランキー、…駄目だ」 フランキー「一人だけ…あの子を…」 キャンベル「マーシュがやられた」 「あいつら、どこからかやってきて…燃えてる建物から銃声がして…」 「初めは、銃声だとは思わなかった…。」 「どうしてパドックは…パドックには分かったんだ?」 レッド「助ける人が多すぎる。(助けたいが、人手が足りない)」 ベイカー「レッド、大丈夫だ。俺を見ろ、レッド!俺たちに任せるんだ。」 パドック「レッド!」 「壁の下敷きになってたんだ…」 ベイカー「どうしたんだ?」 パドック「俺とフライアーで家々を調べて回ってたら、隣の建物が天井から崩れて…そんな具合さ!」 ベイカー「ニコラスはどこだ?この子の父親は?」 「どこだ、パドック!」 パドック「ええと、あー…死んでるぜ、ベイカー。」 ベイカー「ピーター!聞こえるか、ピーター!すぐに良くなる、聞こえるだろう?」 フライアー「マット、もう行かないと」 ベイカー「頼む、ピーター…」 フライアー「死んだんだ、マット!」 「聞くんだ!俺たちの助けを今すぐ必要としてる人が、何人も居るんだ!」 「それに、ドイツ兵だってあちこちに居やがる。」 「俺たちを援護するのが、お前の役目だろう!」「しっかりしろよ!」 (焼け落ちる家に向かって) ベイカー「フランキー!」 コリオン「フランキー!」 The Rabbit Hole (ウサギの穴)----- <1944 9/20 オランダ アイントホーフェン北東部> ベイカー「フランキー!」 「もう、馬鹿はよせ。」 フランキー「分かるでしょう?俺だってこんな事になるなんて、思って無かったんですよ。」 「俺が思う…思った事は、一人の人を救えたなら、きっと俺は良い事をしたんだろうなって事です。」 「俺は、えぇと、彼女を見つけた。ここで立ち往生しちまって、だから、ドイツ兵に見つかる前に、彼女を行かせたんです。」 ベイカー「フランク!落ち着け。言わなきゃならん事がある。」 フランキー「止めてください…。父親みたいな事をしないでください。」 「行ってください。行って、俺に彼女を救わせて下さい。お願いです。」 フランキー「すみません、軍曹…」 ベイカー「謝る事は無い、良くやった」 フランキー「彼女は…彼女は無事ですか?」 ベイカー「ああ、大丈夫だ」 フランキー「ははっ…嘘でしょう」 レッド「あいつは死んだ、マット。…死んだんだ。」 「もう行くぞ」「俺を見ろ!」 「行くぞ、マット。ついてこい」 レッド「姿勢を低く…早くしろ」「クソッ、気を付けろ!」 「クソ、ドイツ兵だ!そこに隠れろ」「撃て、撃つんだ、マット!」 「撃ち続けてろ!側面に回る」 レッド「電気が消えた…町中だ。なんてこった、街の人たちが…」 レッド「そこには誰もいないぞ、マット。」 ベイカー「奴は、正しい事をしているという事に、気付いていなかった。」 「奴は、尊敬され、より良い人間に育ったかもしれない。」 フランキー「ええ、でも俺はもう死んじまいましたよ、軍曹。」 ベイカー「ああ…そうだ。死んだ。」 We Happy Fewer(我ら少数、幸福なる少数/幸福なる我ら)-----(注:ヘンリー5世の"We few, we happy few, we band of brothers"からのもじり) <1944 9/20 オランダ アイントホーフェン> マクレアリー「奴が死んだなんて、信じられないよ。」 「いつも、すげぇ元気だったのに…」 ベイカー「奴は他の人間も犠牲にしたんだ。」 マクレアリー「その…、安らかな最期、でしたか?」 ベイカー「そうでもないな。」 「すまない…。その、そういう事じゃなくて…。すまない。」 ドーソン「ジープも軽くなっちまったな…」 「ジープを止めろ!」 コリオン「何だって?」 ドーソン「いいから止めろ!」 ロゼリ「今度は何だ?」 ジャスパー「小便でもするんじゃないか。…イギリス兵に?」 ドーソン「どこで盗んだ?」 イギリス兵(注:Crewとあるので、戦車兵かもしれない)「何だって?」 オーニール「おい、二度とこんな真似するんじゃねぇぞ…」 ドーソン「どこだ!」 イギリス兵「アイントホーフェンだよ!もう誰も着ないだろうと思って…」 ドーソン「そうじゃなかったな…」 ベイカー「マイク!何をしてるんだ?」 ドーソン「何分か前の手前の話に、まんまと騙される所だったぜ、ベイカー!」 ベイカー「どうしたっていうんだ?イギリス兵がたまたま、アメリカ兵のジャケットを着ているだけだろう?落ち着いてくれないか?!」 ドーソン「これが、あんたには”たまたま”ですか?」 フライアー「どうしてジャスパーに、銃弾寄せなんてボンネットに書かせたんです?」 レッド「その時は面白かったんだ。」 フライアー「今は?」 レッド「効果が無くは無いさ。」 (注:もしかするとベイカーのジープのボンネットにある:戦死者リストの事かも 仮にそうだとしても  フライアー「どうしてジャスパーにあんなの書かせたんです?」  レッド「その時は面白かったんだ。」  フライアー「今は?」  レッド「時と場合に因るさ。」 が、無難な訳か) パドック「このシフトレバー、もう一回動かなくなりやがったら、今度こそぶっ壊してやる!」 ベイカー「もう行くぞ。」 ドーソン「目を背けるんですか?」 ベイカー「忘れたのか?名探偵ナンシー・ドルー、 俺たちはここで謎解きをするんじゃないんだ!」(注:ナンシー・ドルー=当時の探偵小説の主人公。) (or「名探偵さん、ここは戦場だぞ?謎解きなどをしてる場合か?!」とかのほうがスッキリした訳かも) 「オーデンロードに向かわないとならん!」 <12時間後 オーデンロード城> マック「つまり、マーシュとその新入りだけが犠牲者か。」 レッド「ですね、今のところ。」 「あの、言わせてもらっても?」 マック「レッド、気付いてないようだから言うが、ここは本部じゃないんだ。そんなにかしこまらずに言え。」 レッド「ああ。ベイカーの事なんだ。何か…良くないようなんだ。」 マック「どういう事だ?」 レッド「ここだけの話だが…でも、奴は見えない何か、幻覚を見ていたんだ。」 「あいつ、凄く思い詰めるだろう?…部下が死んだときに。」 (注:第1作目Road to Hill 30ではベイカーは部下の半分を失った。 説明書より”彼はもうこれ以上部下を死なせまいとするが、それは戦場に於いては強い意志というよりも狂気に近いのかもしれない。”) マック「で、どうする?」 レッド「凶報はいつ来るか分からないからな…」 パドック「どけ、フライアー!このガラクタに2,3発穴開けて、さっさとお別れといこうぜ!」 フライアー「パドック!ジープを撃つんじゃない!」 マック「皆、休息が必要なようだ。」 レッド「はは、そうだな…」 「待ってくれ、ベイカーの事、どうする?」 マック「お前から話せばいい、レッド。俺は何も聞いてないって事にしておく。分かったな?」 Black Friday(暗い金曜日)----- <1944 9/22 オランダ フェーヘル南西部> レッド「手はどうだ?」 パドック「へへっ、それ、お前が言うか?」(注:レッドは薬指が無いので) 「痛ッ!何しやがる!?」 フライアー「そんなに昔の事でもないでしょう?」 レッド「そうだったかもな。指を失くして、苛立って喚いた時もあったな。」 フライアー「結婚指輪はどうしたんです?」 レッド「首にぶら下げてるよ。もし無くしちまったら、 エルマ(注:レッドの奥さん)は俺を戦場に送り返して、四つん這いになってでも探させるだろうよ!」 ザノヴィッチ「5分だけでいいから、テイラー将軍にこうやって列になって運転するのがどんなに嫌か、言ってやりたいぜ!」 ベイカー「ザノ…何だっていうんだ?!」 ザノヴィッチ「パレードみてえによ、簡単に狙い撃ちになっちまうじゃないか!」 ホールデン「交通渋滞…戦場でだ!」 ザノヴィッチ「つまり、俺に5分話さしてくれりゃ、何かがぶっ壊れる度に、いちいち立ち止まる事は無くなるって事だよ!」 レッド「地点18で合流だ。たぶん喫茶店だと思う。そこで会おう。遅れんなよ。」 (敵戦車が出現) ベイカー「散開しろ!行け!戦車を制圧しろ!」 (敵戦車が撃破) ベイカー「助けが要るか?」 ディッケンソン「一時間前に第30軍団から分かれて来た。」 「ドイツ野郎め、上手い事隠れてやがる。道を綺麗にするのを、手伝ってくれるか?」 ディッケンソン「ありがとうよ、お前ら。他のアメリカ兵たちにも良く言っておくよ。」 レッド「ほとんど、(パンが)古くて固いな」 フライアー「食うには充分ですよ」 レッド「ああ、マット」 「ええと…言いたい事があるんだ」 「その…」 ベイカー「後にしてくれ(直訳:二人きりの時に話すべきだ)」 レッド「分隊の皆も知っておいた方が良いだろう」 フライアー「どうしたんです?」 レッド「マット、言ってくれ。病院で…壁に向かって銃を撃ってただろう!」 ベイカー「そうじゃなくてな…」 レッド「いいや、そうだ」 キャンベル「ええと、つまり…気がおかしくなったとか、いかれちまったって事ですか?」 ベイカー「いいや、俺は大丈夫だ。レッド、俺はただ…」 レッド「マット!病院をうろついてただろう!」 ベイカー「俺はフランキーを探してただけだ!」 レッド「お前が分隊長としてだな、いつも分隊の結束を強めるよう努めていれば、」 「フランキーだって、一人で勝手な行動を取ったりはしなかったんじゃないか?!」 マクレアリー「迫撃砲だ!」 (注:喉を押さえながら家から出てくるのは、キャンベル伍長。) コリオン「ベイカー!…何てこった。顔に傷が!」 「連れだしてやる!行こう!」 ベイカー「レッド、レッドはどこだ?」 (注:隣で喉を押さえているのは、引き続きキャンベル伍長。) コリオン「話すんじゃない!」 パドック「置け、ここに置くんだ!」 ロゼリ「大丈夫ですかね?」 パドック「いいから置け!」 「俺を見るんだ、フライアー!」 「おい、しっかりしろ!こんなもんじゃお前、へこたれないだろうが!」 「しっかりしろ!」 コートランド「マズイですか…?」 コリオン「い…息をしてない。俺にやらせてくれ。」 「レッド、聞こえてんだろ?息をしてくれ」 「息出来るだろ、やってみろ!」 コートランド「コリオン。」 コリオン「こいつは死んでねェ!黙ってろ!」 「呼吸だ、畜生。レッド、息をするんだ!」 コートランド「サム!もう駄目だ、行かないと!」 コリオン「いやだ!」 「おい。おい!しっかりしろ、ジョー。しっかりしろってんだ、レッド!」 (注:血を吐いて息をしだすレッド。決して止めを刺した訳ではない) (序盤FIVE-OH-SINKでのフランキーの想起?) パドック「野戦病院まで、連れて行かないとな…」 「酷くやられちまって、何も出来ねぇや」 ロゼリ「フライアーをジープの後ろに載せて…」 パドック「俺がやる。」 ロゼリ「…悪い。」 ザノヴィッチ「今は、ちゃんと部隊を率いられるんですか?」 ベイカー「ああ。」 ベイカー「今まで俺は、何度も何度もあいつらに命令してきた」 「あいつらじゃなくて、俺を連れて行ってくれればいい」 「でも、いつもそうはならない」 「フランキーなど、まだヒヨっこだった…」  フランキー「その呼び方はやめてって言ったじゃないですかぁ。」 ベイカー「レッドもそうだ…あいつも大丈夫なのか、そうじゃないのか、まだ分からない。」 「畜生…あいつは連れていくな…」  レッド「また誰かが死んだら、お前はもう耐えられないかもしれないな。」 ベイカー「あいつは連れていくんじゃない…」 The Right Man(正しき者/相応しき者)----- <1944 9/22 オランダ フェーヘル> シンク「ベイカーか?」 ベイカー「そうですが?」 シンク「時間はとらせない」 「野戦病院によると、ハートソック軍曹は戻って来ないそうだ」 「大変な日々だったな…、そこで、個人的に君に話したかったのだ。」 ベイカー「分かっています。」 シンク「さて、ワイルダー大尉の代わりとして来ている訳だが、」 「重要な偵察部隊を活動させる為に、聞かない訳にはいかない。時間も貴重だ。」 「普段私はこんな事はしないのだが…君は皆の事をよく分かっているだろう。」 ベイカー「ええ、そうです。」 シンク「第2分隊を率いるのに相応しいのは誰だ?」 ベイカー「パドック伍長です。」 シンク「確かか?」 ベイカー「はい。」 シンク「では、彼の昇級の通知をしてくる。」 「君たちはよくやってくれているよ。」 コリオン「そうかよ?」 ベイカー「サム…なんだ?」 コリオン「俺が今まで…命令に従わない事があったかよ、マット?」 「今までしっかり命令通りにしてただろう?」 ベイカー「そういう事じゃない」 コリオン「じゃあ何だよ?」 ベイカー「諦めろ、サム」 コリオン「諦める?諦める…」 「俺ら(注:ベイカー、レッド、コリオン)みんな、伍長だったろう、マット。」 「だからって、皆お前の思い通りって事じゃねえだろ!」 ベイカー「伍長!」 コリオン「何だよ?」 ベイカー「お前を死なせないのが、俺の任務だ。」 「命令に従わなければ、死ぬぞ。」 「これはお前が言っていたんだぞ!」 「フランキーに言っていたのを聞いた…面と向かってな」 「そしてあいつは俺の腕の中で死んだ!お前がちゃんと、あいつにその事を分からせて無かったからだ!」 Hell's Highway(ヘルズハイウェイ/地獄通り) ----- <1944 9/23 オランダ ウーデン南西部> ザノヴィッチ「誰かレッドの事、聞いてるか?無事なのか?」 マクレアリー「ギデオン衛生兵に会ったときに聞いたんだが…」 「ただ生きてる、とだけ言っただけで…それ以上の事は聞けなかった。」 ザノヴィッチ「またウーデンに寄ったら会ってみよう。そんで…」 「迫撃砲!道に気をつけろ!」 マクレアリー「ハンドルを切れ、切るんだ!」 ザノヴィッチ「糞!」 コリオン「皆無事か?」 コートランド「俺らは大丈夫だ、別のジープの奴らを見てくれ。」 コートランド「コリオンが撃たれた!隠れろ!」 (家の中に入って) レゲット「さて、おなじみの光景だ…」 (一帯を制圧した後に) ベイカー「糞ッ、サム!」 <ウーデン付近 20分後> ベイカー「衛生兵!」 (注:ハートソックが居るのと同じウーデンの野戦病院) ベイカー「衛生兵、来てくれ!」 ギデオン「気を失って何分です?」 ベイカー「10分くらいだと思うが…」 ギデオン「中に入れて!」 Those we lost(戦死者リスト/亡くしたものたち)----- <1944 9/24 オランダ フェーヘル郊外> ドーソン「また移動ですね。」 「フェーヘルのヘルズハイウェイ(地獄通り)を通って…」 ベイカー「歩き続けるのさ。」 ドーソン「ケヴィンの事を知ってます。」 ベイカー「ケヴィンなんて奴は知らん。」 ドーソン「ケヴィン・レゲット上等兵も?」 「カランタンの郊外で会いました…何かに怯えて、戸惑ってるようでした。」 「そしたらその『秘密』について、すぐ教えてくれましたよ。」 ベイカー「何がしたい!」 ドーソン「前に言おうとした事ですよ、軍曹!」 「死んだあいつらのことについてあんたは何か隠してる!」 「レゲットとアレンと…もう一人の奴の名前は忘れちまったが…」 ベイカー「ガーネットだ」 ドーソン「ああ、そうだ、そいつだ。」 「あんたが言わなきゃ、俺が皆に言う。」 「これはあんたの責任だかんな。」 ホールデン「戻って来れて良かったな、パドック。」 「どうしたんだ?そりゃ…分かるけどさ。」 パドック「イギリスでポーカーしてた時にな、喧嘩してた時にさ、下らねぇ事言っちまったんだ。」 「俺はただ、俺らがそのままで行ったら、マーシュとフライアーが俺に噛みついてくるだろうって、指摘しようとしてたんだ。」 「だらだら過ごしてると、それぞれの性格が出てきてさ」 「俺はただ、俺らの分隊の、その弱点を言いたくてさ。別に、そんなに酷い事を言うつもりは無くて…」 「何か、俺が殺しちまった感じがしちまってさ…」 (注:ベイカーには、死んだ筈のフライアーと病院に居る筈のレッドが見えている。) ホールデン「贖罪をしたいのか?」 パドック「それって、許してもらうって意味か?」 ホールデン「お前が許してほしいのは、きっと俺たちではないと思う。」 「キャンベルに話をしなよ。」 パドック「あいつはまだ話せねぇよ。」 ホールデン「でも、聞く事は出来る。」 ベイカー「他にもある。」 「長い事、言わないでいた事だ。あまり、良い話じゃないがな。」 ザノヴィッチ「何です?」 <1944 6/9 D-DAYから3日後 1014時 フランス サン=コム・デュ・モン> レゲット「本当にすまない…」 ベイカー「レゲット、何があった?」 (10分前)  アレン「こんなの馬鹿げてる、戻ろうぜ。」  ガーネット「どっちに戻るってんだ?」  アレン「俺らの背中の方向にさ。」  レゲット「マック曹長は…」  アレン「またかよ、レゲット!お前と曹長は夫婦かっての?!」 「夏には別荘でハッテン場か?」(直訳:夏には二人で別荘でも借りるってのかよ?!)  レゲット「ああ、またかよ。また糞みたいな下らない話をすんのか?」  ガーネット「おい、お前ら」  アレン「何が問題か、分かってんのかレゲット?」  レゲット「お前、お前だよ!問題はお前だ!」  アレン「いいや、お前だ!」  ガーネット「おい、お前ら黙れよ!」  アレン「お前は厄介者なんだよ!皆お前を嫌ってる!」  レゲット「皆俺を嫌ってるだって?目を覚ませ!お前だって嫌われてる!」 「いつも陰じゃお前の悪口ばっかりさ、ガーネットだってな!」  ガーネット「レゲット、黙れ!ドイツ兵がそこらじゅうに居るんだぞ!」  レゲット「もう騙されないぞ!」 「ほら、ドイツ野郎!ここに居るぞ、来て殺してみやがれ!」  アレン「レゲット…」  レゲット「男なら(直訳:玉が半分でも付いてんなら)、今すぐにでも殴ってみろよ!」  アレン「殴る理由が無いだろ。」  レゲット「理由が出来たろ?」  ガーネット「何してんだ、レゲット!」  レゲット「(仲裁は)まだだ!これは、俺とアレンの問題だ!」   (注:ドイツ兵の声、多分「アメリカ兵だ」とか、そんなん)  ガーネット「糞!レゲット、アレン、いいから隠れ…」  アレン「そんな!」  (注:アレンが使ったのは恐らくレゲットのライフル?)  アレン「悪かったよ、ケヴィン…」  レゲット「ベ、ベイカー!」 ベイカー「レゲット。今言った事は、絶対に誰にも言うんじゃないぞ。」 レゲット「何故です?」 ベイカー「皆に殺されちまうぞ!」 「何も見てないそうだ。」 Tooth and Nails (爪と牙)----- <1944 9/26 オランダ クーフェリング> レゲット「俺を殺してえんだろ!殺ってみろ、殺ってみやがれってんだ!」 レゲット「さて、お馴染の光景だ。多分あんたは今正気を失くしかけてる。」 ベイカー「どうすれば?」 レゲット「探し出すんだ。」 シンク「こちらに風車小屋があって、その反対は砂丘になっている。」 「ドイツ軍の大部分は、砂丘を超えた小屋の中から、防衛している。」 「お前らは、そこに無線所を置いて、奴らの逃げ場を失くしてしまうんだ!」 ベイカー「パドック!俺とホールデンをそこに連れていってくれるか?」 パドック「例えピアノだって運んでやりますよ!(意訳:何だってやりますよ!)」 シンク「爆撃を呼んで、持てる全火力をネズミどもに集中するんだ。」 「502と506連隊は、お前たちに続いてクーフェリングに向かう。」 「だから、とにかく出会った部隊と合流するんだ。幸運を。」 ベイカー「了解!」 パドック「ここに無線所を設置するぜ。」 ベイカー「いいか、パドックとホールデンはここに残って無線所を設置する。」 「マクレアリー、ドーソン、コートランドはザノヴィッチに続け。」 「マッコネルとロゼリはキャンベルに付け。」 「皆一緒に行くぞ!」 (注:因みに、分隊の編成はここで話しているのとは全くちぐはぐです。) (注:マッコネル上等兵は、二作目"Earned In Blood"に登場、第二分隊員。ペイジ軍曹と仲が良かった。  でも、二作目のXbox版とPC版にしか出ておらず、PS2版「名誉の代償」にも、今作にも登場無し…名前だけ。) マック「さっきからそこらじゅうで迫撃砲を撃ってる馬鹿は、どいつだ?」 「危うく建物の下敷きになるところだったぞ!」 ベイカー「パドックだ。」 マック「ああ、成程な。」 「やつらは、ここからちょうど南の道路の交差点の辺りに88mm砲を集めてる。」 「もちろん、俺たちは0930時に戦車部隊(A column of tanks)を貰った。」 「が、邪魔な奴らが綺麗さっぱり無くなるまで、506連隊とは合流できない!」 ベイカー「俺がやる!」 マック「別にお前がやらなくても…」 ベイカー「マック曹長!俺がやる!」 マック「そうだろうと思ったよ。」 「取り敢えず、戦車を一台連れて行け。」 「頑張れよ!」 ベイカー: 「寒い9月。34,600人の連合軍は、ライン河を渡ってドイツに侵攻する、 マーケットガーデン作戦に参加する為、オランダの大地に足を踏み入れた。」 「9月27日。第101空挺師団の偵察部隊(注:ベイカーの部隊)を含む506連隊と502連隊の混成部隊は、  クーフェリングの強固な守りからドイツ軍部隊を追いたてることが出来た。」 「この場所で、第101空挺師団の兵たちは、英軍部隊がアーネム(アルンヘム)に於いてドイツ軍機甲部隊に対してもう対抗できないと知った。」 「彼らは到着しなかった増援部隊の為に、最善を尽くした。」 「第30軍団は、待ち伏せに会い、砲撃され、負傷し、そして死に…目標に到達する事は無かった。」 「結局、連合軍はアーネムを救う目標を諦めざるを得なくなり、たった8日間で被害は17,000人に達した。」 「だが、物語はまだ終わっていない。」 Farewell is Goodbye (最後には良い別れを) <1944 9/27 オランダ ウーデン南西部> マック「で、レッドについては何も聞いてない?」 ベイカー「ああ。4日になるが、ホールデンがコリオンの様子を聞いてはいたから…」 「たぶん、大丈夫だ。それで良いんだ。」 マック「誰か居なくなるってのは、変な感じがするもんだろう」 ベイカー「少し。」 「第30軍団が間に合っていれば…」 マック「そしたら、無謀な将軍の無謀な作戦に、今も付き合わされていたさ。」 「モントゴメリーは欲が出たんだな。」 マック「どうした?」 ベイカー「話したんです。」 マック「何を?」 ベイカー「レゲットの事。奴がした事…そして俺がした事。」 マック「マット!止めておけと言ったろう?」 ベイカー「分かってる。ただ俺は…」 マック「レッドの見舞いに行ってこい。」 コリオン「ギデオン衛生兵がお前と話をしたいと。」 ベイカー「それで…お前は、大丈夫か?」 コリオン「マット…」 「ずっと…ずっとあいつらに何があったか、隠してたのかよ?」 マット「サム!」 コリオン「知ってんなら、隠すんじゃねえよ。」 「それと今、そんな、澄ましたように俺の名前を呼ぶな。」 「マット。俺はもう、あんたと一緒に戦いたくは無いね。」 ギデオン「待ってたよ、軍曹。内密に話したい事があってね。」 ベイカー「レッドの具合は?」 ギデオン「その事なんだ。」 「彼はまだ知らないんだ。ここ何日か、寝て起きての繰り返しで…」 ベイカー「待ってくれ、何を知らないって、ドク?」 ギデオン「ええ…」 「胸部神経に強い衝撃を受けて、それより下の、…主に背骨の神経系が…」 ベイカー「ドク。つまり、どういう事だ?」 ギデオン「半身不随です。」 「まだ言ってないんです。彼の信頼する誰かに言われた方が良いと思って…」 「目が覚めるたび、彼は君の事を聞いてきたので…。」 レッド「俺が気絶してた時に、一発ガツンとやってくれたのは、お前か?」 ベイカー「いいや。」(注:一発ガツンとやったのはコリオン。) レッド「俺の後任は?」 ベイカー「パドックだ。今のところ。」 レッド「何、パドックが?」 「あの、血の気盛んな(Mr.Deathwish)パドックがね…」 ベイカー「レッド…言う事がある。」 レッド「皆無事か?」 「…フライアーの事は聞いたよ。」 「でも、他の皆は、無事か?」 ベイカー「皆無事さ。でも、これは…お前の事なんだ、ジョー。」 レッド「俺?」 ベイカー「畜生、あぁっと…。お前は…、家に帰るんだ。」 「エルマとキャロルの元に帰るんだ。お前は父親に…きっと良い父親になる。」 「あの建物が…俺たちに崩れ落ちてきて…」 レッド「マット…」 ベイカー「お前はもう、歩けないんだ。」 「すまない…本当にすまない。」 「俺を見ろ、レッド。」 「必ず…戦争が終わったら、必ずお前に会いに行く。レッド、お前は俺の親友だろ?」 レッド「俺たちに、戦う意味はあったか?」 ベイカー「あるさ。」 レッド「お前も少しばかり…成長したみたいだな、ベイカー。」 ザノヴィッチ「レッドはどうです?」 ベイカー「ザノ、放っておいてくれ…」 レゲット「さて、お馴染の光景だ。俺たちには、共通点が多いらしい。」 「『防弾男』マット・ベイカーが、戦友を失って涙に暮れるとは。」 (注:『防弾男』の呼称は、一作目"Road to Hill 30"にてオブリエスキー二等兵が言いだした。) ベイカー「同じなものか。」 レゲット「分かってるんでしょう?同じ事ですよ。」 「あんたは耐えて、自身の罪の重さに跪いてるんだ。」 「同じ事の繰り返しですよ。」 ベイカー「俺はまだ生きている!これは大きな違いだ。」 レゲット「そうですか?他に、もっと俺に言いたい事があるんじゃないですか?」 「俺は弱くて脆かったから、秘密を守ろうと、ボロボロになっちまった。」 ベイカー「お前を守りたかったんだ。」 レゲット「そう言って、フランキーも守ろうとしたんで?」 「奴はあんたを信頼してた、他の奴らも同じように…でも、皆死んじまった!」 「あんたに守られる価値があるとでも?」 ベイカー「やめてくれ、頼む…」 レゲット「ここで終点じゃない。まだ戦争は終わらない。」 「ねぇ、軍曹。地獄は抜けられましたけど、雪には耐えられるんですか?」 ベイカー「雪が何だ。」 ドーソン「そのピストルを持ってどこへ?」 ベイカー「驚きだよ、お前にも分からない事があるとはな?」 ドーソン「ちょっと待って下さい、軍曹!」 ベイカー「駄目だ。皆に言う事がある。」 ベイカー: 「よし、皆集合だ!ほら、集まれ!」 「作戦開始から、10日経った。皆全力で、よくやってくれた。犠牲が出る程に…」 「俺たちは、フランキーを失った。フライアーにマーシュ、…そしてレッドも。」 「瓦礫が奴の背骨に当たって、レッドは半身不随だ。もう今までのようには歩けないが、話は出来る。」 「レッドは、何て言ったと思う?」 「この戦いに、価値はあったかと俺に聞いた。」 「俺たちはいつだって間違いをする。  俺たちはいつも、戦いの意味について考えてきた。  そして俺たちは戦闘の犠牲が出るたびに、苦しみ思い悩む。…特にも、敗北に直面したときには。」 「だが、俺はもう逃げない。お前ら全員の前に立ってる。まだ、ここに立ってるんだ。」 「近い将来、ベルリンに突撃しろと命令されれば、もちろん従うだろう。」 「しかし、俺をまだ信用しきってない奴が居る事も知っている。」 「迷信に囚われてる奴が居るのも、分かっている。」 「それも今で終わりだ。言いたい事はそれぞれあるだろうが、それはたかがこんな銃の為なんだ!」 「俺たちは― 兄弟で、父親で、聖人で、そして罪人だ。」 「このやり切れなさを、ドイツ軍にぶつけてやろうじゃないか!」 パドック「はッ、スゲェや。」 「つまりその…良い演説でしたよ。」 コリオン「…そうは思えない。」 ベイカー「優れた兵士の条件は?」 「賢さか、それとも優しさか?」 訳者注: ・序盤で「俺はマック曹長のような演説はしないが〜」であったのが、分隊をまとめ上げる為に演説をしている。  また、レッドの"At least, You've learned something"「少なくともお前は何かを学んだようだな」にも表れている。  それぞれバラバラであった第2分隊・第3分隊が仲間たちの死を乗り越え、成長したベイカーの元に結集するというテーマ、と考えられる。 ・HHのストーリーには「一人の為に」という繰り返しがある。  コール中佐に始まり、ニックの息子ピーター、フランキーにとっての白い服の少女、それからフランキー彼自身、  自分勝手な振る舞いの為にアレンとガーネットを死なせたレゲット、分隊長になれなかったコリオン、そしてそれらに振り回されるベイカー。  みんな「一人の為に」分隊がばらばらになっていき、レッドはベイカーに対して何よりそれを批難した。(コール中佐とフランキーについての場面)  しかし最終的にはわだかまりを残しつつも、ベイカーは分隊長としての自覚を取り戻し、再びリーダーとして皆をまとめあげる。 ・PC版のファイル中のテキストにはベイカー・レッド・コリオンの伍長時代の恋愛話やレゲット・アレン・ガーネットの死に対するザノの批判的な反応、  撃たれた後のコリオンとベイカーとのやや険悪な雰囲気のやり取り(撃たれたもののコリオンは動けるくらいには無事で、しばらく共に闘っている様子)、  中盤に登場した英国兵のオーニールとフランキーのジャケットを着た英国兵とが"Hell's Highway"において戦車で応援に駆け付ける描写、  病院にて「ウィスキーの事、忘れてないよな?」とEIBでの約束をベイカーに確認する台詞、野戦病院でパドックがキャンベルに謝るエピソードなど、  (またシンク大佐がE中隊のウィンターズ大尉を呼ぶ描写などもあり)カットされた場面が多々存在するようだが、  劇中では使われていないのでここで補足するに留める。